頭から胸までの旅
チャプレンのことば
2017/06/22
キリスト教とチャペル
OVERVIEW
チャプレンからのメッセージです。
チャプレン 金 大原
ある詩人のインド旅行記を読んだことがある。その中で、ヨガの発祥の地として知られているリシケシを訪れた時、インド人の修行者から汽車に乗って100時間もかけてここまで来たという話を聞いて驚くと、「それより遠い旅がある。世の中でもっとも遠いのは、人の頭から胸までの旅路である」と言われた、という話が頭に残っている。頭で理解したことを胸で共感し実践に結び付けることができない、わたしたち人間の弱さを悟らせるための言葉だっただろう。
情報の洪水の中で数えられないほどの知識と情報を受け取ること自体を悪いとは言えないだろう。でも単純に、頭の中に蓄えておいて必要な時に出して使うための目的で、勉強をし、知識を増やすのであれば、それは問題である。学問をする真の意味は、何かを頭で理解するだけでなく、それを胸に響かせるためなのだ。歩みづらいが人の香りがするその道を、頭から胸に向かう旅路を、立教で共に歩もうではないか。
情報の洪水の中で数えられないほどの知識と情報を受け取ること自体を悪いとは言えないだろう。でも単純に、頭の中に蓄えておいて必要な時に出して使うための目的で、勉強をし、知識を増やすのであれば、それは問題である。学問をする真の意味は、何かを頭で理解するだけでなく、それを胸に響かせるためなのだ。歩みづらいが人の香りがするその道を、頭から胸に向かう旅路を、立教で共に歩もうではないか。
※本記事は季刊「立教」240号(2017年4月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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